アレキサンドラ・リプシッツ(監督)
フィンランドのオウルでのある深夜、わたしは45スペシャルというロッククラブにいた。そこでは、ファッションこそバラバラだが20人ほどの人々が、それぞれのスタイルでエアギターに興じていた。その中に本作のプロデューサーの1人であるセドリック・デヴィットもいた。彼はわたしをフロアに手招きして、耳もとで「心の中のエアギターを解放するときだ」とささやく。わたしたちはエアギターをこころから楽しみ、そして病みつきとなった。
エアギターをプレイすると自分の中で何かが起きる。それがフィジカルな現象なのか、メンタルなそれなのかはわからない。もしかすると、それらすべてのレベルで何かが起きるのかもしれない。楽しむために自分の自我を解き放てるかどうかによって、すべては変わってくるのだと思う。
フィンランドの一部の人々は、エアギターをプレイしているときは同時に拳銃を持つことが出来ないから世界平和がもたらされる、と信じている。わたしに分かったことは、あの晩、自分が変わったということだ。本作はエアギターへの愛と世界平和のために、大勢のスタッフが長時間にわたって無償で働いてくれたことによって完成した作品だ。この作品が完成したことによって彼らが少し肩の力を抜き、人生を楽しんでくれればそれほどうれしいことはない。